壁に1年障子に2年天井裏には3年生





五月の風そよぐ午後。

お腹一杯の猿野天国君は今日も歴史の授業中、爆睡を貧っておりました。


そしてそんな状態をにっこりと見守る程、歴史教師は優しくも無気力でもなく。
青筋たてて強めの声かけを送りました。


「猿野!!」


「ふぁい…。」


声をかけられた天国は返事をしながらゆっくり立ち上がったものの。
今だ夢と現の間をさまよっている様子。

そんな「けしからん」状態の生徒に、先生は少しばかりの意地悪を思い付きました。



「眠気覚ましに135ページから英訳してみろ。」



周りの生徒はこの言葉にちょっと驚き、
次の瞬間クラスメートが見せるであろう楽しそうな姿を想像して小さく笑う。



「え〜と、The administration of mitinagaFujiwara
grew greatly from this age. Sho-shi which is the eldest daughter of the way head becomes a shrine in the Emperor ichijoh in the next 1000
.(藤原道長の政権は、この時代から飛躍的に成長した。翌1000年には道長の長女であるしょうしが一条天皇の中宮となる)
…あのこれ歴史の教科書っすけど…。」




その後数分間、クラスは静まり返ることとなるのでした。


#####################



「なー猿野、実はお前って英語得意?」

次の休み時間、実はクラスメートだった同じ野球部員の片貝が話しかけてきた。

その様子に、せっぱつまった空気を感じた天国は、とりあえず聞いてみる事にした。



「まあ英語はしゃべれっけど…何、なんかあったのか?」

珍しくギャグを混ぜることもなく。

すると、片貝は口を開いた。





「頼む!!英語教えてくれ!!」



「…あ?」
冷静に考えて当然の答えがかえってきた。

###############


「で、今日の宿題忘れたらペナルティ喰らって部活休む羽目になるのに忘れたってか。
見掛けによらずうっかりさんねぇ片貝キュンv
あ、そこ違うぞー。」

「うっせえ!帰ってちょっと横になってたら熟睡しちまったんだよ!え、ここか?」

「余計バカだろ。ほらそこは過去完了形だぞ?」

「てめーに言われたくねー。あ、ホントだ。」



(ほぼ片貝一人が)すったもんだで10分後片貝は無事課題を提出した。




################################



「ねー片貝クンさー。今日の休み時間のアレってどーゆー事?」

無事迎えた部活の練習中。
片貝はどす黒いオーラを背負った兎丸に質問を受けた。



「へ…?や、休み時間って…。」

片貝は尋常ならぬ状況にいきなりたたされている事を否応なしに理解させられた。



「やだなあすっとぼけちゃってさあ。シバくん。」


その声に後ろにいた司馬はこくりと頷くと、
こちらも常ならぬ険しい表情で片貝の襟首をつかみ、持ち上げた。

「うわ!お…落ち着け司馬、兎丸!休み時間って何の事だよ!?」


「とぼけないでって言ったじゃん。
今日兄ちゃんと顔突き合わせて仲良くしてたでしょ?

片貝クンみたいな脇キャラに抜け駆けられるとは思わなかったけどね?
猪里先輩と蛇神先輩から同じ報告が来るまで信じられなかったよ?」

かなり失礼な事を言われてるなと思いながらも片貝は命の危険を感じ始めていた。
(てか、先輩まで見てたのかよ!?)

彼等の教室は離れているはずなのに…。


「だって、僕たち同盟組んでるもん。
お互い抜け駆けしないよう見張るのと兄ちゃんに悪い虫がつかないようにするのとが目的なんだよ?
片貝クンは知らなかったみたいだけどね?

兄ちゃんの人気は凄まじいくらいなんだよ。」

(てか、読まれてる…!)
片貝は生まれて始めて心の奥底から恐怖を感じ。

意識が薄れる前に洗いざらい話した。




######################



「へえ…兄ちゃんの頭が悪くないのは薄々気付いてたけどそんなに…。」

「……。」

「そうだね。すぐに会報に送らないと。」


片貝に二心がないことを知った二人は片貝を開放した。
片貝はようやく人心地がついたと一息つく。



が、くるりと振り向いた兎丸は、最後に言った。

「次に何かしたら会長の主将が直々に警告に来るからね〜。」

片貝は。

つぎの瞬間意識を手放した。







「おーい、片貝ぃ。前の課題どうだった?」

「…よくできてるってほめられたよ…サンキュな…。」

「んだよ、その割には顔色悪いな。また課題忘れたか?何だったらまた協力…。」

「いい、いい!!」

真っ青になり疾走していく片貝に天国は憮然とする。



「何だよ〜気ぃ悪いな。」



その様子を微笑とともに眺める影が3つばかりあったのを

天国は知らない。



                               END



微妙に文章が空中分解したような…(^_^;)
彩音さま、半年以上もの長い間お待たせして本当に申し訳ありませんでした!
片貝クンという超脇キャラがメインぽくてホントに変なキャラ選びして すみません…。
でも最初は野木くんになる予定でした。
それよりはマシかなと…。

素敵リクエスト本当にありがとうございました!

戻る